事業者の取り組み紹介

「不要なものは何一つない」の実現へ挑む、桂紙業の思いとは

桂紙業は2025年で75年目を迎える老舗古紙リサイクル企業で、古紙全般の回収から製紙メーカーへの出荷までを自社スタッフと設備で一貫して行っています。「紙は回収すれば全て資源」という理念のもと、これまで課題となっていた離島の古紙回収や紙粉の処理などにも積極的に取り組んできました。社会の困りごとに目を向け、自社でできることを模索し続ける姿勢が同社の強みとなっています。

桂紙業は1950年に創業し、2025年で75年目を迎える老舗古紙リサイクル企業です。

 

「紙は回収すれば全て資源 」という創業者である現会長・須藤美代子氏の父 ・須藤正規氏の理念のもと、取引先から出る不要となった紙や段ボール、雑誌、新聞紙など古紙全般の回収から紙の選別・梱包、製紙メーカーへの出荷までを自社スタッフと設備で一貫して行ってきました 。いまや全国約400社の取引先から古紙の回収を行っているといいます 。

 

 

 

同社の調べによると、1日当たり約600トンの古紙リサイクルを行った場合、約12,000本もの樹木を守ることに相当するといい、事業そのものが環境に配慮した取り組みになっています 。

 

2024年10月にはSDGs推進に取り組む企業として評価され、東京都北区SDGs推進企業認証制度において「北区SDGs推進企業」に認証されました。

「不要なものは何一つない」を実現する

同社は、従来の枠組みにとらわれず、社会の困りごとに目を向けたリサイクルにも取り組んでいます。

 

その一例が、離島での古紙リサイクルです。離島では輸送コストなどの問題から古紙リサイクルが未だ浸透せず、多くの古紙が焼却されているという課題があります。この課題に対し、同社社長・山俊彦氏の出身地である鹿児島県与論島の役所から相談を受けたことをきっかけに、この取り組みは始まりました。

 

「与論島の知人から島の古紙リサイクルをどうにかできないかと相談を受けていました。正直、採算がとれるか分からない状態でしたが、困っていることに目を向けて、私たちができることを模索し提案することが私たちの強みであり、それが SDGsであると信じています」(山社長)

 

この言葉の通り、離島での古紙リサイクルを実現するため、同社は与論島へ古紙を圧縮梱包するためのプレス機を貸与したほか、回収した古紙をトイレットペーパーとして再生させるために、社長自ら営業に赴き、製紙メーカーとの連携を進めてきました。来年1月からは同社の鹿児島営業所でトイレットペーパーの加工を始める予定だといいます。

 

 

このほか、従来は粉塵爆発の可能性から焼却が難しい「やっかいもの」として扱われていた紙粉の価値も見直してきました。

 

紙粉は製本会社などの製造工程で発生する副産物です。粉状のため焼却処理が難しく、保管スペースが必要となることから、長年の悩みとなっていたといいます。同社はこの紙粉の回収・再利用についても考えてきました。

 

まずはスペースの圧迫を解消するため、同社は紙粉のペレット化に向けた検証を通して、体積を7分の1にまで圧縮可能であることを実証しました。
(※)ペレット化とは、素材を小さな粒状に加工する技術のこと

 

現在は、紙粉のペレットの用途を模索している段階であり、猫用トイレに使われる猫砂や下水道の汚水処理用の原材料だけでなく、もう一段階上の再利用の方法を社長自らが他社のリサイクル工場へ見学に行くなどし、検討を進めているそうです。

 

 

同社の強みは「変化を恐れない姿勢」

このように長年事業を継続してきた同社の強みは、変化を恐れず、社会の困りごとに対して突破口を探し続ける姿勢だといえます。

 

同社は2024年から新たな試みとして、地元の小学生向けの工場見学も始めました。

きっかけは北区立桐ケ丘郷小学校の先生からの依頼でしたが、子どもたちの意識を変えるきっかけになりたいという思いのもと、工場見学の資料や内容は社員自らが作成しているといいます。

 

筆者が取材に訪れた日にも、工場見学に来た北区立桐ケ丘郷小学校の児童の姿があり、工場で段ボールをプレス機で圧縮する工程を実演した際には、子どもたちから「すごい!わ~!」といった歓声があがっていました。

 

 

須藤会長によると、社員たちにとっても、初心を思い出す良いきっかけになっているといいます。

 

 

今後の取り組みに対して、山社長は、「埼玉県の児玉営業所の屋根には300枚の太陽光パネルを設置しています。電気代の抑制や環境配慮の両面からも、今後も太陽光パネルの設置のほか、重機やトラックなどのEV化も積極的に進めていきたいと思っています。また、かなり分野は異なりますが、近年騒がれているリチウムイオン電池の発火や焼却施設の老朽化の課題などについても何かしら取り組んでいきたいと思っています」と挑戦し続ける思いを語りました。

事業者プロフィール

株式会社桂紙業

不要となった紙や段ボール、雑誌、新聞紙など古紙全般の回収から紙の選別・梱包、製紙メーカーへの出荷までを自社スタッフと設備で一貫して行う古紙リサイクル企業です。東京都北区に本社を構え、首都圏や北陸・関西・九州エリアに営業所を持ち、全国約400社の取引先から古紙の回収を行っています。

株式会社桂紙業:https://www.katsurashigyo.jp/

あなたの感想を伝える